『走れメロス』の視点を変えた書き方を知りたい!
ここではそんな人の悩みを解決します!
視点を変えて「セリヌンティウスから見たメロス」の例文!
ここでは、『走れメロス』の視点を変えて「セリヌンティウスから見たメロス」の例文を紹介します。
セリヌンティウスは驚いた。
突然自分が人質として、王の前に差し出されたからだ。
メロスはすぐに村へ帰り、おれはただ帰りを待つだけだ。
あいつならきっと帰ってくる。あの情に熱いメロスならば。
とはいえ、暴君ディオニスを前に、彼の顔はさすがに強張り、身体は硬く緊張した。
「残念だったなセリヌンティウス。お前の友はお前を見捨て、今頃どこかで遊んでいるよ」
ディオニスは彼をからかって、大声を上げてあざ笑う。
「いいえ、メロスはやって来ます」
セリヌンティウスはこれだけ答え、十里の先へ想いを馳せる。
一日が過ぎ、二日が過ぎて、三日の朝を迎えたが、メロスはいまだにやって来ない。
このとき初めて彼の心に、疑惑の念が浮かび出す。
もしやメロスは来ないのか、おれを代わりに逃げ出したのか。
この陽が落ちればおれは死ぬ。明日の陽はもう見られないのだ。
彼が太陽を見上げると、そんな彼の暗い心に、陽の光がさっと射し込み、みるみる気力が湧いてきた。
いやいやそんなはずはない、友を疑うとはなんたることだ。
おれはただここで待てばいい。信じるも信じないもありはしないのだ。
じきに陽は暮れる。とうとう彼は処刑台の上に立った。
そばには王と執行人、周りには見渡すかぎりの群衆。
あわれみ人々、失望する人々、そんな彼らを掻き分け掻き分け、ついにメロスがやって来た。
メロスは彼にこう言った。
「セリヌンティウス私を殴れ。私は道の途中で一度、とても悪い夢を見た。お前が私を殴らなければ、お前と抱擁する資格がないのだ」
セリヌンティウスはすぐに理解し、力一杯に頬を殴り、それから彼もこう言った。
「メロス、お前も私を殴れ。私もたった一度だけ、お前のことを疑った。お前が殴ってくれないと、私もお前と抱擁できない」
メロスは彼の言葉を聞いて、同じように頬を殴り、それから二人は抱き合った。
それを見ていた王様は、
「真実は決して嘘ではなかった。よければ私もお前たちの仲間に入れてくれ」
群衆は歓声をあげ、拍手喝采が鳴り止まなかった。一人の少女が前に出て、メロスにマントを差し出した。
セリヌンティウスは気を利かせ、彼に優しく教えてやった。
「メロス、君は裸じゃないか。その可愛い娘さんは、君の身体をみんなにみられて、たまらなく口惜しいのだ」
気づいたメロスが赤面すると、セリヌンティウスは頬を和らげた。
この文章は約1000文字です。ぜひ自分で考えるときの参考にしてみて下さい。
次には『走れメロス』の視点を変えた書き方のコツを見ていきます。
『走れメロス』の視点を変えた書き方のコツ!
『走れメロス』の視点を変えた文章は、次の三つのステップで書くことができます。
- 登場人物の一人を選ぶ
- 文章のリズムを意識する
- 冒頭とラストの対比させる
この三つです。
分かりやすくひとつずつ解説していきましょう。
・登場人物の一人を選ぶ
『走れメロス』には、何人かの人物が登場します。
以下が主な登場人物です。
- セリヌンティウス
- 暴君ディオニス
- メロスの妹
- メロスの妹の夫
- セリヌンティウスの弟子
好きな人物を選び、『走れメロス』の物語に沿って書いていきます。
「セリヌンティウス」か「暴君ディオニス」が考えやすい人物です。
・文章のリズムを意識する
『走れメロス』の特徴は「文章のリズム」にあります。
誰を選ぶかということよりも、このリズムを重視した方が良いでしょう。
リズミカルな文章を書くコツは、文章を声に出しながら書いていくことです。
言葉の文字数を合わせたり、文末の母音を合わせたりすると、リズムの良い文章が書けます。
全ての文をリズムに乗せなくても良いので、2~3箇所だけリズムを意識して書いてみましょう。
もちろんたくさんあるとグッドです。
・冒頭とラストを対比させる
『走れメロス』の冒頭とラストは、きれいな対比構造になっています。
- 冒頭「メロスは激怒した」→ラスト「メロスは赤面した」
人が怒ると顔が赤くなりますが、恥ずかしくても顔が赤くなります。
このように、冒頭とラストで同じ色彩描写になっていることが分かります。
しかし、同じ色を描きつつも、感情的には「怒り」→「恥」という違いがあり、主人公の変化を表しているのです。
なので、あなたが『走れメロス』を書くときも、冒頭とラストが繋がるように意識すると、よりよいものが書けるでしょう。
以上の三つが、『走れメロス』の視点を変えた書き方のコツです。
ここで挙げた例文も参考に、あなたなりの『走れメロス』を書いてみて下さい。