『枕草子』「五月ばかりなどに」の品詞分解と現代語訳を知りたい!
ここでは、そんな人の悩みを解決します!
『枕草子』「五月ばかりなどに」の用言と助動詞の品詞と活用形!
『枕草子』「五月ばかりなどに」の用言と助動詞は、以下の赤字部分です。
【本文】
五月ばかりなどに山里にありく1、いとをかし2。草葉も水もいと青く3/見えわたり4/たる5に、上はつれなく6て草生ひ茂り7/たる8を、ながながとたたざまに行け9ば、下はえなら10/ざり11/ける12水の、深く13はあら14/ね15ど、人などのあゆむ16に走り17/上がり18/たる19、いとをかし20。左右にある21垣にある22ものの枝などの、車の屋形などにさし入る23を、急ぎ24てとらへ25て折ら26/む27とする28ほどに、ふと過ぎ29てはづれ30/たる31こそ、いと口惜しけれ32。蓬の、車に押しひしが33/れ34/たり35/ける36が、輪の回り37/たる38に、近う39/うちかかり40/たる41もをかし42。
以下の表に、用言と助動詞の品詞と活用形をまとめています。
用言と助動詞 | 品詞と活用形 |
1.ありく | カ行四段活用・動詞「ありく」連体形 |
2.をかし | シク活用・形容詞「をかし」終止形 |
3.青く | ク活用・形容詞「あをし」連用形 |
4.見えわたり | ラ行四段活用・動詞「みえわたる」連用形 |
5.たる | 存続・助動詞「たり」連体形 |
6.つれなく | ク活用・形容詞「つれなし」連用形 |
7.生ひ茂り | ラ行四段活用・動詞「おひしげる」連用形 |
8.たる | 存続・助動詞「たり」連体形 |
9.行け | カ行四段活用・動詞「ゆく」已然形 |
10.なら | ラ行四段活用・動詞「なる」未然形 |
11.ざり | 打消・助動詞「ず」連用形 |
12.ける | 過去・助動詞「けり」連体形 |
13.深く | ク活用・形容詞「ふかし」連用形 |
14.あら | ラ行変格活用・動詞「あり」未然形 |
15.ね | 打消・助動詞「ず」已然形 |
16.あゆむ | マ行四段活用・動詞「あゆむ」連体形 |
17.走り | ラ行四段活用・動詞「はしる」連用形 |
18.上がり | ラ行四段活用・動詞「あがる」連用形 |
19.たる | 存続の助動詞「たり」の連体形 |
20.をかし | シク活用・形容詞「をかし」終止形 |
21.ある | ラ行変格活用・動詞「あり」連体形 |
22.ある | ラ行変格活用・動詞「あり」連体形 |
23.さし入る | ラ行四段活用・動詞「さしいる」連体形 |
24.急ぎ | ガ行四段活用・動詞「いそぐ」連用形 |
25.とらへ | ハ行下二段活用・動詞「とらふ」連用形 |
26.折ら | ラ行四段活用・動詞「をる」未然形 |
27.む | 意志・助動詞「む」終止形 |
28.する | サ行変格活用・動詞「す」連体形 |
29.過ぎ | ガ行上二段活用・動詞「すぐ」連用形 |
30.はづれ | ラ行下二段活用・動詞「はづる」連用形 |
31.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
32.口惜しけれ | シク活用・形容詞「くちをし」已然形 係り結び |
33.押しひしが | ガ行四段活用・動詞「おしひしぐ」未然形 |
34.れ | 受け身・助動詞「る」連用形 |
35.たり | 完了・助動詞「たり」連用形 |
36.ける | 過去・助動詞「けり」連体形 |
37.回り | ラ行四段活用・動詞「まはる」連用形 |
38.たる | 完了の助動詞「たり」連体形 |
39.近う | ク活用・形容詞「ちかし」連用形「ちかし」のウ音便 |
40.うちかかり | ラ行四段活用・動詞「うちかかる」連用形 |
41.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
42.をかし | シク活用・形容詞「をかし」終止形 |
意味
・ありく:牛車で出かける(この話では歩いていない)
・ただざまに:まっすぐに
・走りあがり:ほとばしりが上がる
『枕草子』「五月ばかりなどに」の現代語訳(口語訳)!
五月頃などに山里を牛舎移動するのは、大変趣がある。
(五月ばかりなどに山里にありく、いとをかし。)
草葉も水もとても青く見えている中で、表面はいたって普通に草木が生い茂っているところを、
(草葉も水もいと青く見えわたりたるに、上はつれなくて草生ひ茂りたるを、)
長々とまっすぐに行くと、草木の下にはなんともいえないきれいな水があって、
(ながながとたたざまに行けば、下はえならざりける水の、)
深くはないけれど、人などが歩くときに(水が)はね上がるのは、とてもよい。
(深くはあらねど、人などのあゆむに走り上がりたる、いとをかし。)
左右の垣にあるなにかの枝などが、牛車の屋形に入ってくるのを、
(左右にある垣にあるものの枝などの、車の屋形などにさし入るを、)
急いでつかまえて折ろうとするうちに、行き過ぎて手が離れてしまったのは、とても残念である。
(急ぎてとらへて折らむとするほどに、ふと過ぎてはづれたるこそ、いと口惜しけれ。)
よもぎの、牛車に押しつぶされたものが、車輪がまわるにつれて、近くにかかるのは趣があってよい。
(蓬の、車に押しひしがれたりけるが、輪の回りたるに、近ううちかかりたるもをかし。)
以上、『枕草子』「五月ばかりなどに」用言と助動詞の品詞と活用形&現代語訳まとめでした!