『枕草子』「宮に初めて参りたるころ」(第三部)の用言と助動詞の品詞と活用形!
「宮に初めて参りたるころ」の用言と助動詞は、以下の赤字部分です。
【本文】
第三部
昼つかた、「今日は、なほ参れ1。雪に曇り2てあらはに3もある4/まじ5。」など、たびたび召せ6ば、この局のあるじも、「見苦し7。さのみやはこもり8/たら9/む10とする11。あへな12きまで御前許さ13/れ14/たる15は、さおぼしめす16やうこそあら17/め18。思ふ19にたがふ20はにくき21ものぞ。」と、ただいそがし22に出だし立つれ23ば、あれに24もあら25/ぬ26心地すれ27ど参る28ぞ、いと苦しき29。火焼屋の上に降り積み30/たる31も、めづらしう32、をかし33。
以下の表に、用言と助動詞の品詞と活用形をまとめています。
用言と助動詞 | 品詞と活用形 |
1.参れ | ラ行四段活用・動詞「まゐる」命令形 |
2.曇り | ラ行四段活用・動詞「くもる」連用形 |
3.あらはに | ナリ活用・形容動詞「あらはなり」連用形 |
4.ある | ラ行変格活用・動詞「あり」連体形 |
5.まじ | 打消推量・助動詞「まじ」終止形 |
6.召せ | サ行四段活用・動詞「めす」已然形 |
7.見苦し | シク活用・形容詞「みぐるし」終止形 |
8.こもり | ラ行四段活用・動詞「こもる」連用形 |
9.たら | 存続・助動詞「たり」未然形 |
10.む | 意志・助動詞「む」終止形 |
11.する | サ行変格活用・動詞「す」の連体形 係り結び |
12.あへなき | ク活用・形容詞「あへなし」連体形 |
13.許さ | サ行四段活用・動詞「ゆるす」未然形 |
14.れ | 受身・助動詞「る」未然形 |
15.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
16.おぼしめす | サ行四段活用・動詞「おぼしめす」連体形 |
17.あら | ラ行変格活用・動詞「あり」未然形 |
18.め | 推量・助動詞「む」已然形 係り結び |
19.思ふ | ハ行四段活用・動詞「おもふ」連体形 |
20.たがふ | ハ行四段活用・動詞「たがふ」連体形 |
21.にくき | ク活用・形容詞「にくし」連体形 |
22.いそがし | サ行四段活用・動詞「いそがし」連用形 |
23.出だし立つれ | タ行下二段活用・動詞「いだしたつる」已然形 係り結び |
24.に | 断定・助動詞「なり」連用形 |
25.あら | ラ行変格活用・動詞「あり」未然形 |
26.ぬ | 打消・助動詞「ず」連体形 |
27.すれ | サ行変格活用・動詞「す」已然形 |
28.参る | ラ行四段活用・動詞「まゐる」連体形 |
29.苦しき | シク活用・形容詞「くるし」連体形 係り結び |
30.降り積み | マ行四段活用・動詞「ふりつむ」連用形 |
31.たる | 存続・助動詞「たり」連体形 |
32.めづらしう | シク活用・形容詞「めづらし」連用形「めづらしく」のウ音便 |
33.をかし | シク活用・形容詞「をかし」終止形 |
『枕草子』「宮に初めて参りたるころ」(第三部)の現代語訳!
昼ごろ、「今日は、やはり参上しなさい。雪空で曇っているので(姿が)丸見えでもないでしょう。」
(昼つかた、「今日は、なほ参れ。雪に曇りてあらはにもあるまじ。」)
などと、(中宮様が)たびたびお召しになるので、この部屋の主も、
(など、たびたび召せば、この局のあるじも、)
「みっともないですよ。そうむやみに引きこもろうとばかりしては。あっけないほど(簡単に中宮様の)御前へのお目通りが許されているということは、(中宮様が)そのようにお思いになるわけがあってのことでしょう。人のご好意にそむくのは、よくないことですよ。」
(「見苦し。さのみやはこもりたらむとする。あへなきまで御前許されたるは、さおぼしめすやうこそあらめ。思ふにたがふはにくきものぞ。」)
と、ひたすらせきたてて出仕させるので、無我夢中の気持ちがするけれど参上するのは、とてもつらい。
(と、ただいそがしに出だし立つれば、あれにもあらぬ心地すれど参るぞ、いと苦しき。)
(雪が)火焼屋の上に降り積もっているのも、めづらしく面白い。
(火焼屋の上に降り積みたるも、めづらしう、をかし。)
『枕草子』「宮に初めて参りたるころ」まとめ!
『枕草子』「宮に初めて参りたるころ」は清少納言が、中宮定子に仕え始めた時のお話です。
清少納言は、美しい中宮定子と自分の容姿を比べて恥ずかしくなっています。
そのため、日の明るい時にお仕えするのは嫌なので暗い時に仕えています。
しかしそんな清少納言を見放すわけではなく、むしろ気を遣って接している中宮定子の姿が描かれています。
以上、『枕草子』「宮に初めて参りたるころ」用言と助動詞の品詞と活用形&現代語訳まとめでした!