『枕草子』「木の花は」の用言と助動詞の品詞と活用形!【第三部(桐の木の花〜)】
『枕草子』「木の花は」の用言と助動詞は、以下の赤字部分です。
【本文】第三部
桐の木の花、紫に咲き1/たる2はなほをかしき3に、葉の広ごりざまぞ、うたてこちたけれ4ど、異木どもとひとしう5/言ふ6/べき7/に8もあら9/ず10。唐土にことことしき11名つき12/たる13鳥の、選り14てこれにのみゐる15/らむ16、いみじう17/心ことなり18。まいて琴に作り19て、さまざまなる20音のいでくる21などは、をかし22など世の常に言ふ23/べく24やはある。いみじう25こそめでたけれ26。木のさまにくげなれ27ど、楝の花いとをかし28。かれがれに29/さまことに30/咲き31て、必ず五月五日にあふ32もをかし33。
以下の表に、用言と助動詞の品詞と活用形をまとめています。
用言と助動詞 | 品詞と活用形 |
1.咲き | カ行四段活用・動詞「さく」連用形 |
2.たる | 存続・助動詞「たり」連体形 |
3.をかしき | シク活用・形容詞「をかし」連体形 |
4.こちたけれ | ク活用・形容詞「こちたし」已然形 係り結び |
5.ひとしう | シク活用・形容詞「ひとし」連用形「ひとしく」のウ音便 |
6.言ふ | ハ行四段活用・動詞「いふ」終止形 |
7.べき | 当然・助動詞「べし」連体形 |
8.に | 断定・助動詞「なり」連用形 |
9.あら | ラ行変格活用・動詞「あり」未然形 |
10.ず | 打消・助動詞「ず」終止形 |
11.ことことしき | シク活用・形容詞「ことことし」連体形 |
12.つき | カ行四段活用・動詞「つく」連用形 |
13.たる | 存続・助動詞「たり」連体形 |
14.えり | ラ行四段活用・動詞「える」連用形 |
15.ゐる | ワ行上一段活用・動詞「ゐる」終止形 |
16.らむ | 伝聞・助動詞「らむ」連体形 |
17.いみじう | シク活用・形容詞「いみじ」連用形「いみじく」のウ音便 |
18.心ことなり | ナリ活用・形容動詞「こころことなり」終止形 |
19.作り | ラ行四段活用・動詞「つくる」連用形 |
20.さまざまなる | ナリ活用・形容動詞「さまざまなり」連体形 |
21.いでくる | カ行変格活用・動詞「いでく」連体形 |
22.をかし | シク活用・形容詞「をかし」終止形 |
23.言ふ | ハ行四段活用・動詞「いふ」終止形 |
24.べく | 当然・助動詞「べし」連用形 |
25.ある | ラ行変格活用・動詞「あり」連体形 |
26.いみじう | シク活用・形容詞「いみじ」連用形「いみじく」のウ音便 |
27.めでたけれ | ク活用・形容詞「めでたし」已然形 |
28にくげなれ | ナリ活用・形容動詞「にくげなり」已然形 |
29.をかし | シク活用・形容詞「をかし」終止形 |
30.かれがれに | ナリ活用・形容動詞「かれがれなり」連用形 |
31.さまことに | ナリ活用・形容動詞「さまことなり」連用形 |
32.咲き | カ行四段活用・動詞「さく」連用形 |
33.あふ | ハ行四段活用・動詞「あふ」連体形 |
34.をかし | シク活用・形容詞「をかし」終止形 |
言葉の意味
・たぐひ:並ぶもの
・うたて:見苦しい
・こちたけれ:大げさ
・ことことしき:大げさだ。ものものしい。
・かれがれに:枯れたよう
・さまことに:一風変わった
『枕草子』「木の花は」の現代語訳(口語訳)!【第三部(桐の木の花〜)】
桐の木の花が、紫色に咲くのはやはり趣深く、葉の広がり方が、いやに大げさだけれども、他の木と同じように言うべきではない。
(桐の木の花、紫に咲きたるはなほをかしきに、葉の広ごりざまぞ、うたてこちたけれど、異木どもとひとしう言ふべきにもあらず。)
中国でものものしい名前のついている鳥が、選んでこの木にだけ住むというようだが、たいそう格別である。
(唐土にことことしき名つきたる鳥の、選りてこれにのみゐるらむ、いみじう心ことなり。)
まして琴に作って、さまざまな音が出てくることなどは、趣深いなどと世の常のように言うことができるだろうか。(と思うほど)たいそうすばらしい。
(まいて琴に作りて、さまざまなる音のいでくるなどは、をかしなど世の常に言ふべくやはある。いみじうこそめでたけれ。)
木の見た目は良くないが、楝の花はとても趣深い。ひからびたように様子が違って咲いて、必ず五月五日に合わせて咲くのも趣深い。
(木のさまにくげなれど、楝の花いとをかし。かれがれにさまことに咲きて、必ず五月五日にあふもをかし。)
以上、『枕草子』「木の花は」の用言と助動詞の品詞と活用形&現代語訳まとめでした!