『雪のいと高う降りたるを』「御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ」の現代語訳!
「御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ」とは、
「御簾を高く上げたところ、(中宮定子が)お笑いになる。」
という意味です。
次に、どうしてこういう現代語訳になるのか、単語ごとに詳しく見ていきましょう。
『雪のいと高う降りたるを』「御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ」の品詞分解!
「御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ」の文章を品詞ごとに分けると、次のようになります。
御簾/を/高く/上げ/たれ/ば/笑は/せ/たまふ
それぞれの言葉の意味は以下の通りです。
用語 | 品詞と活用形 |
御簾 | 名詞 |
を | 格助詞 |
高く | ク活用・形容詞「たかし」連用形 |
上げ | ガ行下二段活用・動詞「あぐ」連用形 |
たれ | 完了・助動詞「たり」已然形 |
ば | 接続助詞 |
笑は | ハ行四段活用・動詞「わらふ」未然形 |
せ | 尊敬・助動詞「す」連用形 |
たまふ | ハ行四段活用・動詞「たまふ」終止形 |
なので、
御簾/を/高く/上げ/たれ/ば/笑は/せ/たまふ
(御簾/を/高く/上げ/たところ(たれ+ば)/お笑い/に/なる)
となり、「御簾を高く上げたところ、お笑いになる。」という意味になります。
次に「なぜ御簾を高く上げたのか」「なぜ笑ったのか」を見ていきましょう。
なぜ御簾を高く上げたのか?
「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ。」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ。
(「清少納言よ。香炉峰の雪はどのようであろうか。」とおっしゃるので、(作者がに人に命じて)御格子を上げさせて、御簾を高く上げたところ、(中宮定子様は)お笑いになる。)
このような文章になっています。
この香炉峰とは、中国の詩人である白居易(はっきょい)が詠んだ詩に出てくる山のことです。
その詩には『香炉峰に積もった雪を、御簾を上げて眺める』という描写があります。
清少納言はその描写を踏まえて、部屋から見える山を香炉峰に見立てて暖簾を上げさせたようです。
なぜ笑ったのか?笑った理由!
中宮定子のこの「笑い」は、清少納言をバカにしているのではなく、賞賛の微笑みです。
中宮定子が「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ。」と言ったのに対して、清少納言のとった行動(御格子を上げさせて御簾を高く上げた)が、
中宮定子が求めていた行動(御簾を上げて外の雪を見たい)だったので「知識もあるし機転がきく、さすが清少納言だ。」といったような褒めの笑いです。
以上、「御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ」品詞分解&現代語訳まとめと「なぜ御簾を高く上げたのか」「なぜ笑ったのか」の解説でした!