『枕草子』「すさまじきもの」の品詞分解と現代語訳を知りたい!
ここでは、そんな人の悩みを解決します!
『枕草子』「すさまじきもの」の用言と助動詞の品詞と活用形!
『すさまじきもの』の用言と助動詞は、以下の赤字部分です。
【本文】
すさまじき1もの。昼ほゆる2犬、春の網代。三、四月の紅梅の衣。牛死に3/たる4牛飼ひ。児亡くなり5/たる6産屋。火おこさ7/ぬ8炭櫃・地下炉。博士のうち続き9女子産ま10/せ11/たる12。方違へに行き13/たる14に、あるじせ15/ぬ16所。まいて、節分などは、いとすさまじ17。人の国よりおこせ18/たる19文の、物なき20。京のをもさこそ思ふ21/らめ22。されどそれは、ゆかしき23ことどもをも、書き集め24、世にあることなどをも聞け25ば、いとよし26。人のもとにわざと清げに27/書き28てやり29/つる30文の返事、いまは持て来31/ぬ32/らむ33かし、あやしう34/遅き35、と待つ36ほどに、ありつる37文、立文をも結び38/たる39をも、いときたなげに40/とりなし41、ふくだめ42て、上に引き43/たり44/つる45墨など消へ46て、「おはしまさ47/ざり48/けり49。」もしは、「御物忌みとて50/取り入れ51/ず52。」と言ひ53て持54て帰り55/たる56、いとわびしく57、すさまじ58。
以下の表に、用言と助動詞の品詞と活用形をまとめています。
用言と助動詞 | 品詞と活用形 |
1.すさまじき | シク活用・形容詞「すさまじ」連体形 |
2.ほゆる | ヤ行下二段活用・動詞「吠ゆ」連体形 |
3.死に | ナ行変格活用・動詞「死ぬ」連用形 |
4.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
5.亡くなり | ラ行四段活用・動詞「亡くなる」連用形 |
6.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
7.おこさ | サ行四段活用・動詞「おこす」未然形 |
8.ぬ | 打消・助動詞「ず」連体形 |
9.うち続き | カ行四段活用・動詞「うち続く」連用形 |
10.産ま | マ行四段活用・動詞「産む」未然形 |
11.せ | 使役・助動詞「す」連用形 |
12.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
13.行き | カ行四段活用・動詞「行く」連用形 |
14.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
15.あるじせ | サ行変格活用・動詞「あるじす」の未然形 |
16.ぬ | 打消・助動詞「ず」連体形 |
17.すさまじ | シク活用・形容詞「すさまじ」終止形 |
18.おこせ | サ行下二段活用・動詞「遣す(おこす)」連用形 |
19.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
20.なき | 形容詞・ク活用「なし」連体形 |
21.思ふ | ハ行四段活用・動詞「思ふ」終止形 |
22.らめ | 現在推量・助動詞「らむ」已然形 |
23.ゆかしき | シク活用・形容詞「ゆかし」連体形 |
24.書き集め | マ行下二段活用・動詞「書き集む」連用形 |
25.ある | ラ行変格活用・動詞「あり」連体形 |
26.聞け | カ行四段活用・動詞「聞く」已然形 |
27.よし | 形容詞・ク活用「よし」終止形 |
28.清げに | ナリ活用・形容動詞「清げなり」連用形 |
29.書き | カ行四段活用・動詞「書く」連用形 |
30.やり | ラ行四段活用・動詞「やる」連用形 |
31.つる | 完了・助動詞「つ」連体形 |
32.持て来 | カ行変格活用・動詞「持て来」連用形 |
33.ぬ | 強意・助動詞「ぬ」終止形 |
34.らむ | 現在推量・助動詞「らむ」終止形 |
35.あやしう | シク活用・形容詞「あやし」連用形「あやしく」のウ音便 |
36.遅き | 形容詞・ク活用「遅し」連体形 |
37.待つ | タ行四段活用・動詞「待つ」連体形 |
38.ありつる | 連体詞 あり(ラ行変格活用・動詞「あり」連用形)+つる(完了・助動詞「つ」連体形) |
39.結び | バ行四段活用・動詞「結ぶ」連用形 |
40.たる | 存続・助動詞「たり」連体形 |
41.きたなげに | ナリ活用・形容動詞「きたげなり」連用形 |
42.とりなし | サ行四段活用・動詞「とりなす」連用形 |
43.ふくだめ | マ行下二段活用・動詞「ふくだむ」連用形 |
44.引き | カ行四段活用・動詞「引く」連用形 |
45.たり | 存続・助動詞「たり」連用形 |
46.つる | 完了・助動詞「つ」連体形 |
47.消え | ヤ行下二段活用・動詞「消ゆ」連用形 |
48.おはしまさ | サ行四段活用・動詞「おはします」未然形 |
49.ざり | 打消・助動詞「ず」連用形 |
50.けり | 過去・助動詞「けり」終止形 |
51.取り入れ | ラ行下二段活用・動詞「取り入る」未然形 |
52.ず | 打消・助動詞「ず」終止形 |
53.言ひ | ハ行四段活用・動詞「言ふ」連用形 |
54.持 | タ行四段活用・動詞「持」連用形 |
55.帰り | ラ行四段活用・動詞「帰る」連用形 |
56.たる | 完了・助動詞「たり」連体形 |
57.わびしく | シク活用・形容詞「わびし」連用形 |
58.すさまじ | シク活用・形容詞「すさまじ」終止形 |
『枕草子』「すさまじきもの」の現代語訳!
面白くないもの、昼に吠える犬。春の網代。三月、四月の紅梅色の着物。
(すさまじきもの、昼ほゆる犬。春の網代。三、四月の紅梅の衣。)
牛が死んだ牛飼い。赤子が亡くなった産屋。火をおこしていない炭櫃・囲炉裏。
(牛死にたる牛飼ひ。児亡くなりたる産屋。火起こさぬ炭櫃・地下炉。)
博士が続けて女の子を産ませたこと。方違えに行ったのに、客人をもてなさない所。
(博士のうち続き女子産ませたる。方違へに行きたるに、あるじせぬ所。)
まして、節分の次期などは、大変興ざめです。
(まいて、節分などは、いとすさまじ。)
地方から送ってきた手紙で、贈り物を添えていないもの。
(人の国よりおこせたる文の、物なき。)
京からの手紙の場合も(地方の人は)そう思うだろう。
(京のをもさこそ思ふらめ。)
しかしそれ(京からの手紙の場合)は、知りたそうなことなどを、書き集めて、世の中の出来事なども知ることができるので、贈り物がなくてもすばらしいものだ。
(されどそれは、ゆかしきことどもをも、書き集め、世にあることなどをも聞けば、いとよし。)
人のもとに特別にきちんと書いて送った手紙の返事を、もうすぐ持ってくるだろうよ、妙に遅いことだ、と待つうちに、
(人のもとにわざと清げに書きてやりつる文の返事、いまは持て来ぬらむかし、あやしう遅き、と待つほどに、)
さっきの手紙を、それが正式な立て文にしろ略式な結び文にしろ、とても汚らしく扱い、
(ありつる文、立文をも結びたるをも、いときたなげにとりなし、)
けばだたせ、上に引いていた墨なども消えて、
(ふくだめて、上に引きたりつる墨など消へて、)
「いらっしゃいませんでした。」もしくは、「御物忌みだと言って受け取りませんでした。」
(「おはしまさざりけり。」もしは、「御物忌みとて取り入れず。」)
と言って持ち帰ったのは、とてもつまらなく、興ざめです。
(と言ひて持て帰りたる、いとわびしく、すさまじ。)
以上、『枕草子』「すさまじきもの」用言と助動詞の品詞と活用形&現代語訳まとめでした!