『枕草子』「ありがたきもの」の品詞分解と現代語訳を知りたい!
ここでは、そんな人の悩みを解決します!
『枕草子』「ありがたきもの」の用言と助動詞の品詞と活用形!
『枕草子』「ありがたきもの」の用言と助動詞は、以下の赤字部分です。
【本文】
ありがたき1もの。舅にほめ2/らるる3婿。また、姑に思は4/るる5嫁の君。毛のよく6/抜くる7銀の毛抜。主そしら8/ぬ9従者。つゆのくせなき10。かたち心ありさますぐれ11、世にふる12程、いささかの疵(きず)なき13。同じ14所に住む15人の、かたみに恥ぢかはし16、いささかのひまなく17/用意し18/たり19と思ふ20が、つひに見え21/ぬ22こそかたけれ23。物語、集など書き写す24に、本に墨つけ25/ぬ26。よき27草子などはいみじう28/心し29て書け30ど、必ずこそ汚げに31/なる32/めれ33。男女をば言は34/じ35、女どちも、契り深く36て語らふ37人の、末までなかよき38人、難し39。
以下の表に、用言と助動詞の品詞と活用形をまとめています。
用言と助動詞 | 品詞と活用形 |
1.ありがたき | ク活用・形容詞「ありがたし」連体形 |
2.ほめ | マ行下二段活用・動詞「ほむ」未然形 |
3.らるる | 受身・助動詞「らる」連体形 |
4.思は | ハ行四段活用・動詞「思ふ」未然形 |
5.るる | 受身・助動詞「る」連体形 |
6.よく | ク活用・形容詞「よし」連用形 |
7.抜くる | カ行下二段活用・動詞「抜く」連体形 |
8.そしら | ラ行四段活用・動詞「そしる」未然形 |
9.ぬ | 打消・助動詞「ず」連体形 |
10.なき | ク活用・形容詞「なし」連体形 |
11.すぐれ | ラ行下二段活用・動詞「すぐる」連用形 |
12.ふる | ラ行下二段活用・動詞「ふ」連体形 |
13.なき | ク活用・形容詞「なし」連体形 |
14.同じ | シク活用・形容詞「同じ」連体形 |
15.住む | マ行四段活用・動詞「住む」連体形 |
16.恥ぢかはし | サ行四段活用・動詞「恥ぢかはす」連用形 |
17.ひまなく | ク活用・形容詞「ひまなし」連用形 |
18.し | サ行変格活用・動詞「す」連用形 |
19.たり | 存続・助動詞「たり」終止形 |
20.思ふ | ハ行四段活用・動詞「思ふ」連体形 |
21.見え | ヤ行下二段活用・動詞「見ゆ」未然形 |
22.ぬ | 打消・助動詞「ず」連体形 |
23.かたけれ | ク活用・形容詞「かたし」已然形 係り結び |
24.書き写す | サ行四段活用・動詞「書き写す」連体形 |
25.つけ | カ行下二段活用・動詞「つく」未然形 |
26.ぬ | 打消・助動詞「ず」連体形 |
27.よき | ク活用・形容詞「よし」連体形 |
28.いみじう | シク活用・形容詞「いみじ」連用形「いみじく」のウ音便 |
29.心し | サ行変格活用・動詞「心す」連用形 |
30.書け | カ行四段活用・動詞「書く」已然形 |
31.汚げに | ナリ活用・形容動詞「汚げなり」連用形 |
32.なる | ラ行四段活用・動詞「なる」終止形 |
33.めれ | 推定・助動詞「めり」已然形 係り結び |
34.言は | ハ行四段活用・動詞「言ふ」未然形 |
35.じ | 打消意志・助動詞「じ」終止形 |
36.深く | ク活用・形容詞「深し」連用形 |
37.語らふ | ハ行四段活用・動詞「語らふ」連体形 |
38.よき | ク活用・形容詞「よし」連体形 |
39.難し | ク活用・形容詞「かたし」終止形 |
意味
・ありがたし:めったにない
・舅(しうと):妻か夫の父親
・姑(しうとめ):妻か夫の母親
・ひまなし:油断がない
・きたなげなり:汚れている
・かたけれ:めったにない
『枕草子』「ありがたきもの」の現代語訳(口語訳)!
めったにないもの。舅にほめられる婿。また、姑に思われるお嫁さん。
(ありがたきもの。舅にほめらるる婿。また、姑に思はるる嫁の君。)
毛がよく抜ける銀の毛抜き。主人を悪く言わない従者。少しも癖のない人。
(毛のよく抜くる銀の毛抜。主そしらぬ従者。つゆのくせなき。)
容姿も心も優れていており、世の中を過ごすあいだ、少しも欠点のない人。
(かたち心ありさますぐれ、世にふる程、いささかの疵なき。)
同じところに住む人で、互いに気兼ねして、少しの油断もなく心づかいしていると思う人が、最後まで隙を見られないということはほとんどない。
(同じ所に住む人の、かたみに恥ぢかはし、いささかのひまなく用意したりと思ふが、つひに見えぬこそかたけれ。)
何かを書き写すとき、本に墨をつけないこともめったにない。価値のある本などのときは大変注意して書くが、どうしても汚れてしまう。
(物語、集など書き写すに、本に墨つけぬ。よき草子などはいみじう心して書けど、必ずこそ汚げになるめれ。)
男女については言うまでもないが、女同士でも、固く約束をして親しく付き合っている人で、最後まで仲の良い人というのは、めったにない。
(男女をば言はじ、女どちも、契り深くて語らふ人の、末までなかよき人、難し。)
以上、『枕草子』「ありがたきもの」用言と助動詞の品詞と活用形&現代語訳まとめでした!